彼女と初めての夜 5
彼女を車の隣に乗せて、あてもなく走らせているうちに時間は朝8時を過ぎました。
やばいな。そろそろ会社に電話しないと
「おはよう。俺だけど」
「あ、おはようございます。どうしたんですか?こんな時間に」
僕は一応管理職で上司は社長と先輩しかいません。
電話に出たのは直属の部下でした。
「今日、ちょっと体調悪くて休むわ。先輩と社長に言っておいてくれ。電話には出れるからなんかあったら連絡してくれ」
「そうですか。わかりました。お大事にしてください」
「おう、悪いな。じゃあよろしく」
かなりの罪悪感。
隣には二十歳すぎのフィリピーナがすやすや寝てます。
こんなとこ誰かに見られたら、明日からどんな顔して会社に行けばいいのか。。
あ~何やってんだろ、オレ
いいかげん起きてくれないかな
先輩たちから聞いてはいたけど、ほんとフィリピーナって自分勝手でわがままだなあ
季節は9月。
まだまだ暑く朝8時とはいえ、すでに気温は30度に近づいています。
腹減ったなあ。牛丼食いたい。
吉野家の前を通り過ぎましたがこの暑さ、彼女を車に置いて飯を食うわけにもいきません。
そうだ!いつものイオンに行こう。
イオンの駐車場に車を停めて、俺も寝よう。疲れた、眠い。。。
イオンの立体駐車場なら涼しく寝られるし、店に入ればトイレも食事もできる。
そしてしばらく、車はイオンの駐車場へ。
とりあえずトイレに行ってから朝飯でも食おうか
車を停め、ふと隣を見ると彼女が薄目を開けています。
「ドコ?」
「カイラ、ようやく起きたか。ほんとにもう。ここはイオンの駐車場だよ」
「ナンデ?ドコ?」
「説明するのめんどくさい。トイレ行くか?」
「Oo(オーオ)」※タガログ語で「はい」の意味
そして彼女と一緒に店舗に入ります。
「Oh! アレナニ?アッチハ?」
まだ酒が残っているのか彼女はイオンの店内に興味津津で、大はしゃぎです。
そっかあ、いつもお店で忙しいもんなあ。買い物も自由に行けないだろうし
そんな彼女の横顔を見ていたら僕は怒る気が無くなりました。
ま、いっか。どうせ仕事も休んじまったし
「トイレが済んだらちょっとSHOPPINGしようか。その後はホテルに行こう。あなた、今夜も仕事でしょ?寝ないと大変だよ」
「ウン」
その後、僕と彼女はようやくホテルにたどり着いたのでした。